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最高裁判所第二小法廷 昭和27年(あ)2972号 決定 1954年2月27日

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人坂本英雄の上告趣意について。

論旨第一点は単なる法令解釈の違反を理由とする主張であり、同第二点は、判例違反をいうが、所謂引用の判例は当裁判所昭和二四年(れ)第二八五号同二五年二月二四日判決(集四巻二号二五五頁)によって変更されたものと認むべきであるから、本件に適切でなく、同第三点は、事実誤認の主張であっていずれも刑訴四〇五条の適法な上告理由とならない。(なお窃盗犯人が賍物を自己の所有物と詐って第三者を欺罔して金員を騙取したばあいにおいては賍物についての事実上の処分行為をなすに止る場合と異り、第三者に対する関係において新な法益侵害を伴うものであるから窃盗罪の外に詐欺罪の成立を認むべきを相当とする)

なお記録を精査しても本件につき刑訴四一一条に該当する事由はない。

よって同四一四条三八六条一項三号一八一条により主文のとおり決定する。

この決定は全裁判官一致の意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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